強化学習

強化学習1-14 役員借入金・役員貸付金・従業員貸付金の詳細と仕訳方法(お金の貸し借りに関する仕訳③)

強化学習1-14では、「役員借入金」「役員貸付金」「従業員貸付金」について学習します。

「役員借入金」と「役員貸付金」は、平成31(2019)年6月以降の日商簿記3級で新しく出題範囲となった勘定科目です。(以前は日商簿記2級で出題されていました)

強化学習1-11と11-2で学習したお金の貸し借りに関する仕訳に比べれば出題頻度は低めですがしっかり理解しておく必要があります。

勘定科目「役員借入金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「役員借入金」とは?

勘定科目「役員借入金」とは
会社の役員から借り入れをした際に使用する勘定科目

規模の小さい会社では、会社役員(社長・取締役)のポケットマネー(個人資産)を借り入れて、事業の運転資金を補うことがあります。

このような場合に、勘定科目「役員貸付金」で処理をします。

法人設立当初や、業績が極端に落ち込んでしまったときなどに応急処置として役員から借り入れる傾向にあります。

銀行や取引先からの借り入れた場合には利息を支払う必要がありますが、役員から借り入れた場合、利息0%でも問題がないというメリットがあります。

勘定科目「役員借入金」の所属グループ

勘定科目「役員借入金」は「負債」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、負債のグループに属する勘定科目の定義は、【将来、お金やサービスを支払う義務】です。
役員借入金は、借りたお金を返す(支払う)義務があるため負債になります。

勘定科目「役員借入金」の借方貸方

勘定科目「役員借入金」は、「負債」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

負債の増加 必ず、貸方に記録
負債の減少 必ず、借方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「役員借入金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「役員借入金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. (役員から)借り入れたとき
  2. (役員から)借り入れたお金を返したとき

勘定科目「役員借入金」の仕訳を例題とともに理解する

①(役員から)借り入れたとき
:役員借入金(負債)が増えたときは右側の貸方

基礎学習6で学んだ通り負債の増加は必ず貸方に記録をします。

例題1)役員より現金¥300,000を借り入れた。なお、役員から借り入れたことが分かる勘定を使用すること。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 300,000 役員借入金 300,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 現金を借り入れたから「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 役員からの借り入れが分かる勘定とのことなので勘定科目「役員借入金」を使用します。
  • 借り入れているので「役員借入金の増加」と判断します。
  • 役員借入金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)当社の代表取締役から250,000 を借り入れ、利息分の¥2,500が差し引かれた残額が当社の普通預金口座に振り込まれた。なお、役員から借り入れたことが分かる勘定を使用する。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金
支払利息
247,500
2,500
役員借入金 250,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員からの借り入れが分かる勘定とのことなので勘定科目「役員借入金」を使用します。
  • 借り入れているので「役員借入金の増加」と判断します。
  • 役員借入金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 普通預金に振り込まれたから「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は借り入れから利息分を差し引いた残高なので(借入金¥250,000)-(利息2,500)=¥247,500です。
  • 利息が差し引かれてるので利息を支払ったと同じことになり、「支払利息の増加」と判断します。
    ※支払った利息には勘定科目「支払利息」を使用します。(支払利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 支払利息は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の借り入れ問題は、利息の支払いがセットで出題されることがほとんどです。
自分が支払う利息は勘定科目「支払利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「支払利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

②(役員から)借り入れたお金を返したとき
:役員借入金(負債)が減ったときは左側の借方

基礎学習6で学んだ通り負債の減少は必ず借方に記録をします。

例題1)役員借入金¥300,000を現金で返済した。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
役員借入金 300,000 現金 300,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員借入金を返済しているので「役員借入金の減少」と判断します。
    役員借入金は、借りたお金を返す義務なので返済した時点で義務がなくなるので減少させます。
  • 役員借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 現金で返済しているので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)役員借入金¥250,000の満期日となったので、普通預金口座から役員の普通口座に振り込んだ。なお、利息¥2,500は借入時に差し引かれている。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
役員借入金 250,000 普通預金 250,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れの満期日に返済についての取引なので「借入金の減少」と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
  • 借入金の金額は借り入れた総額¥250,000です。
    ※「借入時に差し引かれた利息額」に迷わされないよう注意が必要です。借入金の金額から利息を引いた金額にしてしまわないようしましょう。利息は借りたお金にプラスで支払うものなので、あくまでも借入金は¥250,000となります。
  • 普通預金口座から振り込んでいるので「普通預金の減少」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例3)役員借入金¥400,000の満期日となったので、利息¥4,000とともに小切手を振り出して支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
役員借入金
支払利息
400,000
4,000
当座預金 404,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れの満期日に返済についての取引なので「借入金の減少」と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
    借入金は将来お金を返す義務をあわらすので、返済をした際には義務がなくなるので減少させます。
  • 借入金の金額は借り入れた総額¥400,000です。
  • 利息を支払っているので、「支払利息の増加」と判断します。(支払利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 支払利息は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 小切手を振り出して支払ったので「当座預金の減少」と判断します。(理由が分からない場合には強化学習1-3を復習してください)
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の借り入れ問題は、利息の支払いがセットで出題されることがほとんどです。
自分が支払う利息は勘定科目「支払利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「支払利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

勘定科目「役員貸付金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「役員貸付金」とは?

勘定科目「役員貸付金」とは
会社(法人)から役員に対して貸し付けをした際に使う勘定科目

規模の小さい会社のオーナー経営者の場合、会社のお金と個人のお金の境目が曖昧なことが多くあります。

生活費が足りないなどの理由から社長が会社のお金を私用で使うことがあり、そのような場合に、勘定科目「役員貸付金」で処理をします。

会社が役員に貸付をする場合は金利0%は使えません。
企業は営利目的で活動しているため、役員貸付を行う場合は必ず「金利を設定し利息を取らなくてはならない」と決められています。

勘定科目「役員貸付金」の所属グループ

勘定科目「役員貸付金」は「資産」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、資産のグループに属する勘定科目の定義は、
【①現金・預金または②将来、お金やサービスを受け取る権利】です。
役員貸付金は、貸し付けたお金を将来返してもらえる権利なので資産になります。

勘定科目「役員貸付金」の借方貸方

勘定科目「現金」は、「資産」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

資産の増加 必ず、借方に記録
資産の減少 必ず、貸方に記録


仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「役員貸付金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「役員貸付金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. (役員に)貸し付けたとき
  2. (役員から)貸し付けたお金を返してもらったとき

勘定科目「役員貸付金」の仕訳を例題とともに理解する

貸し付けたとき
:役員貸付金(資産)の増加は左の借方

基礎学習6で学んだ通り資産の増加は必ず借方に記録をします。

例1)当社役員に¥100,000を貸し付ける目的で、利息¥1,000を差し引いた額を現金で支払った。なお、役員に貸し付けたことが分かる勘定を使用すること。
借方科目 金額 貸方科目 金額
役員貸付金 100,000 現金
受取利息
99,000
1,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員への貸し付けのために支払いをしており、役員に貸し付けたことが分かる勘定をと指定があるので「役員貸付金の増加」と判断します。
  • 役員貸付金は「資産」の勘定科目なので、資産の増加の場合には借方に記録します。
  • 役員貸付金の金額は貸し付けた¥100,000です。
  • 利息を貸付金額から差し引いて支払っているので、利息を受け取ったと判断します。
  • 受け取った利息は勘定科目「受取利息」を使用し、増加になります。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 受取利息の金額は¥1,000です。
  • 最後に現金を支払っているので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 現金の金額は、(貸付金¥100,000)-(利息¥1,000)=¥99,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

例2)当社の取締役に資金を貸し付ける目的で¥200,000の小切手を振り出した。なお、利息は返済時に元金とともに受け取る条件とした。なお、役員への貸付けであることを明示する勘定を用いることとする。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
役員貸付金 200,000 当座預金 200,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員への貸し付けのために支払いをしており、役員に貸し付けたことが分かる勘定をと指定があるので「役員貸付金の増加」と判断します。
  • 役員貸付金は「資産」の勘定科目なので、資産の増加の場合には借方に記録します。
  • 役員貸付金の金額は貸し付けた¥200,000です。
  • 貸付金の支払いに小切手を振り出したとあるので「当座預金の減少」と判断します。(理由が分からない場合には強化学習1-3を復習してください)
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 当座預金の金額は¥200,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
    ※利息は貸し付けた際には受け取っていないので今回は仕訳対象になりません。

②貸し付けたお金を返してもらったとき
:役員貸付金(資産)の減少は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り資産の減少は必ず貸方に記録をします。

例1)役員貸付金¥100,000の返済として現金を受け取った。なお、利息¥1,000は貸し付ける際に貸付金額から指しい引いている。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 104,000 役員貸付金 100,00

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員貸付金の回収をしているので「役員貸付金の減少」と判断します。
    役員貸付金は、貸し付けたお金を受け取る権利を表すのでお金を受け取った時点で権利がなくなるので減少させます。
  • 役員貸付金の金額は、貸し付けた元金¥100,000です。
  • 現金を受け取っているので「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 現金の金額は¥100,000です。
    ※利息¥1,000に惑わされないことがポイントです。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)役員貸付金¥100,000の回収にあたり、元金と利息の¥104,000が普通預金に振り込まれた。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 104,000 役員貸付金
受取利息
100,000
4,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員貸付金の回収をしているので「役員貸付金の減少」と判断します。
    役員貸付金は、貸し付けたお金を受け取る権利を表すのでお金を受け取った時点で権利がなくなるので減少させます。
  • 役員貸付金の金額は、貸し付けた元金¥100,000です。
  • 利息を受け取っているので「受取利息の増加」と判断します。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 受取利息の金額は¥4,000です。
  • 普通預金に振り込まれているので「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は¥104,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

勘定科目「従業員貸付金」の詳細と仕訳方法

給料1,500,000万円のうち、従業員に対する貸付金800,000円とその利息4,000円を差し引き、残額を当座預金より振り込んだ。

勘定科目「従業員貸付金」とは?

勘定科目「従業員貸付金」とは
会社(法人)から従業員に対して貸し付けをした際に使う勘定科目

従業員の福利厚生目的でマイホーム資金を貸し付けることがあります。
そのような場合に、勘定科目「従業員貸付金」で処理をします。

勘定科目「従業員貸付金」の所属グループ

勘定科目「従業員貸付金」は「資産」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、資産のグループに属する勘定科目の定義は、
【①現金・預金または②将来、お金やサービスを受け取る権利】です。
従業員貸付金は、貸し付けたお金を将来返してもらえる権利なので資産になります。

勘定科目「従業員貸付金」の借方貸方

勘定科目「現金」は、「資産」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

資産の増加 必ず、借方に記録
資産の減少 必ず、貸方に記録


仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「従業員貸付金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「従業員貸付金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. (従業員に)貸し付けたとき
  2. (従業員から)貸し付けたお金を返してもらったとき

勘定科目「従業員貸付金」の仕訳を例題とともに理解する

貸し付けたとき
:従業員貸付金(資産)の増加は左の借方

基礎学習6で学んだ通り資産の増加は必ず借方に記録をします。

例1)従業員に¥50,000貸し付ける目的で、小切手を振り出した。利息は返済時に受け取る約束となっている。なお、従業員に貸し付けたことが分かる勘定を使用すること。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
従業員貸付金 50,000 当座預金 50,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 従業員に貸し付ける目的で従業員に貸し付けたことが分かる勘定とあるので「従業員貸付金の増加」と判断します。
  • 従業員貸付金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 従業員貸付金の金額は¥50,000です。
  • 小切手を振り出しているので「当座預金の減少」と判断します。(理由が分からない場合には強化学習1-●を復習してください)
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 利息は返済時に受け取るので、当座預金の金額は貸付金と同じ¥50,000」です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例2)従業員に¥800,000を貸し付ける目的で、利息¥1,000を差し引いた額を現金で支払った。なお、従業員に貸し付けたことが分かる勘定を使用すること。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
従業員貸付金 800,000 受取利息
現金
1,000
799,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 役員への貸し付けのために支払いをしており、役員に貸し付けたことが分かる勘定をと指定があるので「役員貸付金の増加」と判断します。
  • 役員貸付金は「資産」の勘定科目なので、資産の増加の場合には借方に記録します。
  • 役員貸付金の金額は貸し付けた¥100,000です。
  • 利息を貸付金額から差し引いて支払っているので、利息を受け取ったと判断します。
  • 受け取った利息は勘定科目「受取利息」を使用し、増加になります。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 受取利息の金額は¥1,000です。
  • 最後に現金を支払っているので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 現金の金額は、(貸付金¥100,000)-(利息¥1,000)=¥99,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

②貸し付けたお金を返してもらったとき
:従業員貸付金(資産)の減少は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り資産の減少は必ず貸方に記録をします。

例1)従業員貸付金¥800,000の返済日に、貸し付けた従業員から当社の普通預金口座に振り込んだと連絡があった。なお、利息¥1,000は貸し付けた際に差し引いている。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金口座 800,000 従業員貸付金 800,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 従業員貸付金の返済がされているので「従業員貸付金の減少」と判断します。
    従業員貸付金はお金を返してもらう権利なので、返済されたらその権利がなくなるので減少させます。
  • 従業員貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 返済代金は普通預金口座に振り込まれているので「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は、貸付金と同じ¥800,000です。
    ※利息¥1,000とあるので迷わないことがポイントです。貸し付けた際の利息は貸付金額にプラスして受け取るものなので、利息額を貸付金額から差し引いて渡していても、従業員が返す金額は貸付金と同じになります。
  • 利息は貸付時に受け取っている状態なので、今回は仕訳を行いません。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例1)今月の給料支給額 ¥ 4,000,000 から、従業員貸付金の返済額 ¥ 60,000 及びその利息 ¥ 1,000 を差し引き、残りを当座預金口座から振り込んだ。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
給料 4,000,000 従業員貸付金
受取利息
当座預金
60,000
1,000
3,939,000

【仕訳解説】

  • 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 給料から差し引かれる形で従業員貸付金の返済がされているので「従業員貸付金の減少」と判断します。
  • 従業員貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 従業員貸付金の金額は¥60,000です。
  • 利息も給料から差し引いている形で受け取っているので、「受取利息の増加」と判断します。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 給料を支払っているので勘定科目「給料」を使用し、「給料の増加」と判断します。(勘定科目給料の詳細は強化学習1-●で解説)
  • 給料は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 給料の金額は、¥4,000,000です。差し引かれてる金額に惑わされないように注意します。
  • 当座預金から支払っているので「当座預金の減少」と判断します。
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 当座預金の金額は(給料¥4,000,000)-(貸付金¥60,000+利息¥1,000)=¥3,939,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。