目次
【重要】利息額の計算方法
日商簿記3級試験では、貸付金や借入金とともに発生する利息の金額は自分で計算しなくてはいけません。
利息額の計算を間違えてしまうと、せっかくの簡単な問題で失点してしまうことになるので、しっかり理解して身につける必要があります。
月割計算の場合
【利息金額 】
= 貸付金額(または借入金額)× 年利率÷12か月×●か月(経過月数)
簿記の参考書や問題集では次の式が乗っているかと思いますが、先ほどお伝えした計算方法の方が、間違いが少なくなるのでお勧めです。
【利息金額 】= 貸付金額(または借入金額)× 年利率×(経過月数/12か月)
月割り利息の計算を例題とともに理解する
例題1)取引銀行から借りていた¥350,000の支払期日が到来したため、元利合計を当座預金口座から返済した。なお、借り入れに伴う年利率は3%、借入期間は6か月だった。
この場合の利息額(支払利息)は次の通りです。
借入金額¥350,000×年利率0.03÷12か月×6か月 = ¥5,250
この取引の仕訳は次の様になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
借入金 支払利息 |
350,000 5,250 |
当座預金 |
355,250 |
この仕訳の解説はこちらをご覧ください。
例題2)A商店に対して、利率4%、貸し付け期間3か月で¥400,000を貸し付けていたが、本日満期のため元利合計額が当座預金口座に振り込まれた。
この場合の利息額(受取利息)は次の通りです。
貸付金額¥400,000×年利率0.04÷12か月×3か月 = ¥3,000
この取引の仕訳は次の様になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
当座預金 | 403,000 | 貸付金 受取利息 |
400,000 3,000 |
この仕訳の解説はこちらをご覧ください。
日割計算の場合
利息金額
= 貸付金額(または借入金額)× 年利率÷365日×●日(経過日数)
※365日は問題で指定される1年の日数を使用する。
日割り利息の計算を例題とともに理解する
例題1)A商店から借りていた¥365,000の支払期日が到来したため、元利合計を当座預金口座から返済した。なお、借り入れに伴う年利率は1%、借入期間は100日であり、利息は1年を365日として日割り計算する。
この場合の利息額(支払利息)は次の通りです。
借入金額¥365,000×年利率0.01÷365日×100日 = ¥1,000
この取引の仕訳は次の様になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
借入金 支払利息 |
365,000 1,000 |
当座預金 |
366,000 |
この仕訳の解説はこちらをご覧ください。
例題2)A商店に貸し付けていた¥730,000の返済を受け、元利合計額が当座預金口座に振り込まれた。なお、貸し付けに伴う年利率は4%、貸し付け期間は90日であり、利息は1年を365日として日割り計算する。
この場合の利息額(受取利息)は次の通りです。
貸付金額¥730,000×年利率0.04÷365日×90日 = ¥7,200
この取引の仕訳は次の様になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
当座預金 | 737,200 | 貸付金 受取利息 |
730,000 7,200 |
この仕訳の解説はこちらをご覧ください。
「利息」を表す2つの勘定科目
「利息」を表す勘定科目には次の2つがあります。
- 支払利息(しはらいりそく)
- 受取利息(うけとりりそく)
この2つの違いは「自分が支払った」のか「自分が受け取った」のかです。
区分 | 勘定科目 | 所属グループ | 簿記3級での出題 |
自分が支払った利息 | 支払利息 | 費用 | 借入金の問題 |
自分が受け取った利息 | 受取利息 | 収益 | 貸付金の問題 |
支払利息と受取利息に何が該当するのかは、この後解説していきます。
勘定科目「支払手数料」の詳細と仕訳方法
勘定科目「支払利息(しはらいりそく)」とは?
勘定科目「支払利息」とは
借入金や社債などに対して支払う利息を表す勘定科目
勘定科目「支払利息」の所属グループ
勘定科目「支払利息」は「費用」の勘定科目に所属します。
基礎学習8で学んだ通り、費用のグループに属する勘定科目の定義は、
【事業を行うための支払いのうち、負債の増加や資産の減少の要因(原因)そのもの】です。
支払利息は、利息の支払い額をした際に使用し、支払ったお金「現金(資産)の減少」の原因を表すので費用になります。
勘定科目「支払利息」の借方貸方
勘定科目「支払利息」は、「費用」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。
費用の増加 | 必ず、借方に記録 |
---|---|
費用の減少 | 必ず、貸方に記録 |
仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。
これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。
勘定科目「支払利息」の仕訳タイミング
日商簿記3級試験で出題される「支払手数料」の仕訳のタイミングは次の1つです。
- 利息を支払ったとき
勘定科目「支払利息」の仕訳を例題とともに理解する
①利息を支払ったとき
:支払利息(費用)の増加は左の借方
基礎学習6で学んだ通り、費用の増加は必ず借方に記録をします。
例1)取引銀行から借りていた¥350,000の支払期日が到来したため、元利合計を当座預金口座から返済した。なお、借り入れに伴う年利率は3%、借入期間は6か月だった。
この取引内容は次のように仕訳します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
借入金 支払利息 |
350,000 5,250 |
当座預金 |
355,250 |
この場合の利息額(支払利息)は次の通りです。
利息の計算:
借入金額¥350,000×年利率0.03÷12か月×6か月 = ¥5,250
【仕訳解説】
- 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
- 借りたお金の支払い期日に返済しているので「借入金の減少」と判断します。
「借入金」は借りたお金を返す義務を表すので、返済する場その義務がなくなるため減少させます。 - 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
- 借入金の金額は、借りた金額そのものの¥350,000です。
- 利息を支払っているので「支払利息の増加」と判断します。
- 支払利息は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
- 支払利息の金額はは先ほど記載した¥5,250です。
(350,000×0.03÷12×6=5,250) - 元利合計額を当座預金から支払っているので「当座預金の減少」と判断します。
- 当座預金の金額は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
- 当座預金の金額は借入金と支払利息の合計¥355,250です。
- 複式簿記のルール通り、借方とか仕方の金額は一致します。
例2)A商店から借りていた¥365,000の支払期日が到来したため、元利合計を当座預金口座から返済した。なお、借り入れに伴う年利率は1%、借入期間は100日であり、利息は1年を365日として日割り計算する。
この取引の仕訳は次の様になります。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
借入金 支払利息 |
365,000 1,000 |
当座預金 |
366,000 |
利息の計算:
借入金額¥365,000×年利率0.01÷365日×100日 = ¥1,000
【仕訳解説】
- 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
- 借りたお金の支払い期日に返済しているので「借入金の減少」と判断します。
「借入金」は借りたお金を返す義務を表すので、返済する場その義務がなくなるため減少させます。 - 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
- 借入金の金額は、借りた金額そのものの¥365,000です。
- 利息を支払っているので「支払利息の増加」と判断します。
- 支払利息は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
- 支払利息の金額はは先ほど記載した¥1,000です。
(365,000×0.01÷365×100=1,000) - 元利合計額を当座預金から支払っているので「当座預金の減少」と判断します。
- 当座預金の金額は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
- 当座預金の金額は借入金と支払利息の合計¥366,000です。
- 複式簿記のルール通り、借方とか仕方の金額は一致します。
勘定科目「受取利息」の詳細と仕訳方法
勘定科目「受取利息(うけとりりそく)」とは?
勘定科目「受取利息」とは
預金の利息や貸し付けの際に受け取った利息を表す勘定科目
勘定科目「受取利息」の所属グループ
勘定科目「受取利息」は「収益」の勘定科目に所属します。
基礎学習8で学んだ通り、収益のグループに属する勘定科目の定義は、【①商品・サービスを提供して得た収入②収入が増えた要因(原因)そのもの】です。
受取利息は、利息を受け取り収入が増えた要因なので収益になります。
勘定科目「受取利息」の借方貸方
勘定科目「受取利息」は、「収益」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。
収益の増加 | 必ず、貸方に記録 |
---|---|
収益の減少 | 必ず、借方に記録 |
仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。
これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。
勘定科目「受取利息」の仕訳タイミング
日商簿記3級試験で出題される「受取利息」の仕訳のタイミングは次の1つです。
- 利息を受け取ったたとき
勘定科目「受取利息」の仕訳を例題とともに理解する
①利息を受けとったとき
:受取利息(収益)の増加は右の貸方
基礎学習6で学んだ通り、収益の増加は必ず貸方に記録をします。
例1)A商店に対して、利率4%、貸し付け期間3か月で¥400,000を貸し付けていたが、本日満期のため元利合計額が当座預金口座に振り込まれた。
この取引内容は次のように仕訳します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
当座預金 | 403,000 | 貸付金 受取利息 |
400,000 3,000 |
利息の計算:
貸付金額¥400,000×年利率0.04÷12か月×3か月 = ¥3,000
【仕訳解説】
- 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
- 貸したお金を回収しているので「貸付金の減少」と判断します。
「貸付金」は貸したお金を受け取る権利を表すので、相手から返済してもらったらその権利がなくなるため減少させます。 - 貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
- 貸付金の金額は、貸した金額そのものの¥400,000です。
- 利息を受け取っているので「受取利息の増加」と判断します。
- 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
- 受取利息の金額はは先ほど記載した¥3,000です。
(400,000×0.04÷12×3=3,000) - 元利合計額が当座預金からに振り込まれているので「当座預金の増加」と判断します。
- 当座預金の金額は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
- 当座預金の金額は貸付金と受取利息の合計¥403,000です。
- 複式簿記のルール通り、借方とか仕方の金額は一致します。
例2)A商店に貸し付けていた¥730,000の返済を受け、元利合計額が当座預金口座に振り込まれた。なお、貸し付けに伴う年利率は4%、貸し付け期間は90日であり、利息は1年を365日として日割り計算する。
この取引内容は次のように仕訳します。
借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
当座預金 | 737,200 | 貸付金 受取利息 |
730,000 7,200 |
利息の計算:
貸付金額¥730,000×年利率0.04÷365日×90日 = ¥7,200
【仕訳解説】
- 取引内容を読んで分かりやすいところから仕訳をしていきます。
- 貸したお金を回収しているので「貸付金の減少」と判断します。
「貸付金」は貸したお金を受け取る権利を表すので、相手から返済してもらったらその権利がなくなるため減少させます。 - 貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
- 貸付金の金額は、貸した金額そのものの¥730,000です。
- 利息を受け取っているので「受取利息の増加」と判断します。
- 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
- 受取利息の金額はは先ほど記載した¥7,200です。
(730,000×0.04÷365×90=7,200) - 元利合計額が当座預金からに振り込まれているので「当座預金の増加」と判断します。
- 当座預金の金額は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
- 当座預金の金額は貸付金と受取利息の合計¥737,200です。
- 複式簿記のルール通り、借方とか仕方の金額は一致します。