基礎学習1では、簿記知識ゼロの方に向けて「簿記とは何か」という最も基本的なことを解説していきます。
もし、簿記について苦手なことや他に気になることだけえを学びたい場合には、総合目次ページから、必要な内容を選んで読み進めてくださいね。
では、簿記に初めて触れる方に向けて、簿記の基礎の基礎「簿記とは何か」を解説していきましょう。
「簿記(ぼき)」とは?
簿記初心者さんに向けてできるだけ簡単な言葉で説明するなら、
簿記とは、
取引の記録を残す技術と一連の手続きのこと
です。
取引の記録を残す先は「帳簿(ちょうぼ)」と呼ばれるノートのようなものや「伝票(でんぴょう)」と呼ばれる用紙(紙片)になります。
一連の手続きは、記録した内容を集計したり「決算書(けっさんしょ)」と呼ばれる資料を作成したりすることです。
帳簿や伝票、手続きにはいくつか種類があり、記録方法や作成手順などそろぞれに決まりがあります。
これらの決まり、簿記のルールを身に着けることが日商簿記3級の勉強となるのです。
なお、簿記3級で決算書は「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」と「損益計算書(そんえきけいさんしょ)」を指します。
なお、貸借対照表と損益計算書は基礎学習3で、帳簿は基礎学習9、伝票は基礎学習10で詳しく解説します。
基礎学習1では、簿記とは何かだけに集中しましょう。
日商簿記試験の運営団体が提示する簿記の説明は次の通りです。
簿記は、企業規模の大小や業種、業態を問わずに、日々の経営活動を記録・計算・整理して、経営成績と財政状態を明らかにする技能です。
引用元:商工会議所の検定試験サイト「簿記とは」
ちなみに、日商簿記3級試験で簿記とは何かを記述する問題は過去に出題されてはいません。(この記事を書いた時点)
「簿記」の種類
さて、ひとくちに「簿記」といっても簿記にも複数の種類があります。
いくつか例をあげるなら、
- 商業簿記
- 工業簿記
- 銀行簿記
- 農業簿記
- 建設業簿記
etc.
です。
なお、日商簿記3級は「商業簿記」が対象になります。
商業簿記がいったいどのようなものか、イメージをつかんでもらうために「商業簿記」と「工業簿記」の違いを比較してみてみましょう。
簿記の種類 | 内容 |
商業簿記 | 完成している商品を仕入れて販売する会社や個人事業の財務状態を管理するための記帳方式。 |
工業簿記 | 材料を仕入れ、製造し、製品を販売する会社の財務状態を記録・計算・報告するための記帳方式。 |
こうやって比較してみると、これから学ぶ「商業簿記」が少し分かりやすくなりますね。
簿記試験の基礎知識
「簿記と会計の違い」から「簿記」を理解する
「簿記」を理解しようとするときに、「会計」との違いを知るとより理解しやすくなるので少し触れておきます。
簿記と会計では何が違うのか結論を完結に言うなら、
- 簿記は「どう記録するか」を学ぶ
- 会計は「どう報告するか」を学ぶ
という違いがあります。
どういうことかと言えば、
- 会計の役割=誰か(税務当局・株主・金融機関など)に報告する
- 簿記の役割=会計で報告するために必要な資料を作成する
なのです。
会計の役割である「報告」をするために簿記で「報告するための資料」を作成するので、簿記は会計の一部(会計を支える技術)となります。
会計は英語で「Accounting/account」といい、直訳すると「説明や報告する」という意味になります。
そして、簿記は英語で「Bookkeeping」といい、直訳するとbook「帳簿」をkeeping「管理すること」という意味になります。
「簿記」とは学問である
さて、最後にこれから簿記を学ぶにあたって一つ抑えておいた方がよいことをお伝えします。
それは、
日商簿記で問われるのは「実務の簿記」ではなく「学問の簿記」である
ということです。
何が言いたいかと言えば、
「実務の簿記」と「日商簿記試験の簿記」では「主流とされること」に違いがある
ということです。
例えば、学問の簿記では手書きで帳簿に記録することを主流として学びますが、実務では会計ソフトを使ったり、伝票をに記録する方法を主流としています。
どんなことでもそうですが、学問と実務では差が出るものです。
「学問の簿記」と「実務の簿記」をまとめて理解しようとすると無理が生じます。
なぜなら、実務の簿記の場合、簿記の必須ルール以外の部分で会社や事業の数だけ決まりがあり、何が正解かを知るのが難しいからです。
日商簿記3級合格のためには、「実務の支流」はいったん置いて「学問の簿記としての正解を一通り身に着ける」のがポイントです。
まとめ
簿記とは取引の記録を残す技術と一連の手続きのこと
日商簿記3級では商業簿記が出題範囲
商業簿記とは完成している商品を仕入れて販売する会社や個人事業の財務状態を管理するための記帳方式
では、次の基礎学習2で簿記の基礎用語と全体の流れをざっくり理解していきましょう。