強化学習

基礎学習1-12 貸付金と借入金の詳細と仕訳方法(お金の貸し借りに関する仕訳①)【日商簿記3級】

強化学習1-11では、お金を貸し借りした際に使用する勘定科目「貸付金」と「借入金」の詳細と仕訳方法について学習していきます。

貸付金・借入金と合わせて理解しておきたい用語

まずは、日商簿記3級試験で「貸付金」と「借入金」と一緒に登場する用語について解説します。

貸付け(かしつけ)とは?

貸付けとは
所定の期日に返済してもらう約束で貸した資金のこと

借り入れ(かりいれ)とは?

借り入れとは
所定の期日に返済する約束で借りた資金のこと

借用証書(しゃくようしょ)とは?

借用証書とは
お金を借りたことまたはモノ(物品)を借りたことを証明する証書のこと
「借用書」ともいう
※証書は事実を証明する文書のこと

利息とは?

あとで

利息の計算方法

日商簿記3級試験では、利息も計算する問題が出題されます。
利息については強化学習1-●支払利息と受取利息の章で詳しく解説します。

なお、今回の強化学習1-12のでは利息を計算しない例題で解説をしています。

勘定科目「貸付金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「貸付金(かしつけきん)」とは?

勘定科目「貸付金」とは
貸付けをした際に使う勘定科目で
貸したお金を後で返済してもらえる権利を表す

勘定科目「貸付金」の所属グループ

勘定科目「貸付金」は「資産」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、資産のグループに属する勘定科目の定義は、
【①現金・預金または②将来、お金やサービスを受け取る権利】です。
貸付金は、貸したお金を後日返してもらえる(受け取れる)ので資産に属します。

勘定科目「貸付金の借方貸方

勘定科目「貸付金」は、「資産」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

資産の増加 必ず、借方に記録
資産の減少 必ず、貸方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「貸付金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「貸付金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. お金を貸したとき
  2. 貸したお金を返してもらったとき

勘定科目「貸付金」の仕訳を例題とともに理解する

①お金を貸したとき
:貸付金(資産)の増加は左の借方

基礎学習6で学んだ通り資産の増加は必ず借方に記録をします。

例題1)A商店に¥300,000を貸し付け、利息3,000を差し引いた残額を当店の普通預金口座からA商店の普通預金口座に振り込んだ。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸付金 300,000 普通預金
受取利息
297,000
3,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 「¥300,000を貸し付け」から「貸付金の増加」と判断します。
  • 貸付金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 貸付金の金額は、貸し付けた金額そのままなので¥300,000です。
  • 「利息¥3,000」から「受取利息の増加」と判断します。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説します。)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 当店の普通預金口座から振込をしているので、「当座預金の減少」と判断します。
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 当座預金の金額は、貸付金から利息を差し引いた金額となります。
    (貸付金¥300,000)-(受取利息¥3,000)=¥297,000
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

例題2)現金¥50,000をKK商店に貸し付け借用証書を受け取った。なお、利息は返済時に受け取ることとした。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
貸付金 50,000 現金 50,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 貸し付けとあるので「貸付金の増加」と判断します。
  • 貸付金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 貸付金の金額は貸し付けた金額そのものなので¥50,000です。
  • 貸し付けのために現金を渡しているので、「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 現金の金額は、渡した現金そのものの¥50,000です。(今回の貸付では利息を返済時に受け取るので最初に差し引く必要がないため)
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

②貸したお金を返してもらったとき
貸付金(資産)の減少は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り資産の減少は必ず貸方に記録をします。

例題1)KK商店に¥50,000を借用書にて貸し付けていたが、本日満期日のため利息\2,000とともに当店の普通預金口座に振り込みがあった。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
普通預金 52,000 貸付金
受取利息
50,000
2,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 普通預金口座に振り込みがあったので「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は、貸し付けた金額と利息の合計¥52,000です。
    (貸付金¥50,000+利息¥2,000=¥52,000)
  • 利息¥2,000をうけとっているので「受取利息の増加」と判断します。(受取利息の詳細は強化学習1-●で解説します。)
  • 受取利息は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 貸付金の返済がされたので、「貸付金の減少」と判断します。
  • 貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 減少させる貸付金の金額は、貸し付けていた総額の¥50,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の貸し付け問題は、利息の受け取りがセットで出題されることがほとんどです。
自分が受け取る利息は勘定科目「受取利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「受取利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

例題2)A商店に¥300,000を貸し付けていたが、満期日となり小切手にて返済を受けた。なお、利息¥3,000は貸し付けた際に貸付額から差し引かれている。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 300,000 貸付金 300,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • なお、この問題(取引内容)では、貸付金の金額で迷わないことがポイントです。
  • 貸付金が返済されたので「貸付金の減少」と判断します。
  • 貸付金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 貸付金の金額は、¥300,000です。
    ※実際に先方に渡した金額は¥300,000から利息\3,000を引いた¥297,000ですが、利息は貸付金にプラスして受け取るものなので、貸付金自体は¥300,000となります。
  • 小切手を受け取ったから「現金の増加」と判断します。(理由が分からない場合には強化学習1-●を復習してください)
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 現金の金額は¥300,000です。
    ※実際に先方に渡した金額は¥300,000から利息¥3,000を引いた¥297,000ですが、利息は貸付金にプラスして受け取るものなので、貸付金自体は¥300,000となります。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

勘定科目「借入金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「借入金(しゃくにゅうきん)」とは?

勘定科目「借入金」とは
借り入れをした際に使う勘定科目で
借りたお金を後で返済する義務を表す

勘定科目「借入金」の所属グループ

勘定科目「借入金」は「負債」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、負債のグループに属する勘定科目の定義は、【将来、お金やサービスを支払う義務】です。
借入金は、後日、借りた分のお金を返す義務があるので負債になります。

勘定科目「借入金」の借方貸方

勘定科目「借入金」は、「負債」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

負債の増加 必ず、貸方に記録
負債の減少 必ず、借方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「借入金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「借入金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. お金を借りたとき
  2. 借りたお金を返したとき

勘定科目「借入金」の仕訳を例題とともに理解する

①お金を借りたとき
:借入金(負債)の増加は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り負債の増加は必ず貸方に記録をします。

例題1)B銀行から現金¥200,000を借り入れた

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 200,000 借入金 200,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れたとあるので「借入金の増加」と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 現金で借り入れをしたので、「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)A商店から¥300,000を借り入れ、利息¥3,000を差し引いた残額が当店の普通預金口座に振りこまれた。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
支払利息
普通預金
3,000
297,000
借入金 300,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れたので、借入金の増加と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 借入金の金額は借り入れた総額¥300,000です。
    ※「利息を差し引いた」の部分に迷わされないよう注意が必要です。利息は借りたお金にプラスで支払うものなので、あくまでも借入金は¥300,000となります。
  • お金を借りた際の利息は「支払利息の増加」となります。(支払利息の詳細は強化学習1-●で解説します。)
  • 支払利息は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 支払利息の金額は¥3,000です。
  • 最後に、普通預金に振り込まれた金額の仕訳をします。
  • 普通預金に振り込みがあったので「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は借入金の額から利息を引いた¥297,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

②借りたお金を返したとき
借入金(負債)の減少は左の借方

基礎学習6で学んだ通り負債の減少は必ず借方に記録をします。

例題1)A店から¥50,000を借用書にて借り入れていたが、本日満期日のため利息\2,000とともに当店の普通預金口座からA店の普通預金口座に振り込んだ。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
借入金
支払利息
50,000
2,000
普通預金 52,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れの満期日に返済についての取引なので「借入金の減少」と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
  • 借入金の金額は借り入れた総額¥50,000です。
  • 借入金の利息を支払っているので「支払利息の増加」と判断します。(支払利息の詳細は強化学習1-●で解説します。)
  • 支払利息は「費用」の勘定科目ので、増加の場合には借方に記録します。
  • 最後に、普通預金に振り込まれた金額の仕訳をします。
  • 普通預金に振り込みがあったので「普通預金の増加」と判断します。
  • 普通預金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 普通預金の金額は、借入金と利息の合計¥52,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

日商簿記3級の借り入れ問題は、利息の支払いがセットで出題されることがほとんどです。
自分が支払う利息は勘定科目「支払利息」を使用します。
今回の例題は、分かりやすくするために利息額を明記していますが、本当の試験では、利息額は計算しないとわからない問題がほとんどです。
利息の計算を間違えて失点することもあるので注意が必要です。
なお、「支払利息」の詳細や利息の計算方法については、強化学習1-●で解説します。

例題2)C商店から¥300,000を借り入れていたが、満期日となり小切手にて返済した。なお、利息¥3,000は借り入れた際に借り入れ額から差し引かれている。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
借入金 300,000 当座預金 300,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 借り入れの満期日の返済についての取引なので「借入金の減少」と判断します。
  • 借入金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
  • 借入金の金額は借り入れた総額¥300,000です。
    ※「利息を差し引いた」の部分に迷わされないよう注意が必要です。借入金の金額から利息を引いた金額にしてしまわないようしましょう。利息は借りたお金にプラスで支払うものなので、あくまでも借入金は¥300,000となります。
  • 小切手で返済しているので「当座預金の減少」と判断します。(理由が分からない場合には強化学習1-●を復習してください)
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 当座預金の金額は、¥300,000です。

まとめ

強化学習●のポイント

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では、次の強化学習●で*****習得していきましょう。

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