強化学習

強化学習1-8 立替金の詳細と仕訳方法(立替金・従業員立替金)【日商簿記3級】

強化学習1-8では、勘定科目が「立替金」と「従業員立替金」」となる取引の仕訳について学びます。

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の用語理解

そもそも、立替えとは?

立替えとは、
払うべき人にかわって一時的に代金を払うこと
出典:goo辞書

勘定科目「立替金(たてかえきん)」とは?

勘定科目「立替金」とは、
立替えをした際に使う勘定科目で、立替えたお金を後で返してもらう権利を表す
※「取引先」と「従業員」どちらに対する立替金にも使用する

勘定科目「従業員立替金(じゅうぎょういんたてかえきん)」とは?

勘定科目「従業員立替金」とは、
本来、従業員が支払う代金を立替えをした際に使う勘定科目で、
立替えたお金を後で返してもらう権利を表す
※「取引先」に対する立替金と「従業員」に対する立替金を区別して記帳する際に使用する

勘定科目「立替金」と「従業員立替金」のどちらを使うのか

日商簿記3級試験の問題文で指定されない限り「立替金」を使用します。

問題文で「従業員立替金」を使用するよう指定されるか、使用していい勘定科目に「従業員立替金」しかなかった場合には、「従業員立替金」を使用してください。

なお、商品売買の不随費用は、取引先の立て替えとなるので「立替金」のみ使用します。

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の所属グループ

勘定科目「立替金」「従業員立替金」は「資産」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、資産のグループに属する勘定科目の定義は、
【①現金・預金または②将来、お金やサービスを受け取る権利】です。
立て替えた場合には、後でお金が戻ってくるので資産に属します。

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の借方貸方

勘定科目「立替金」「従業員立替金」は、「資産」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

資産の増加 必ず、借方に記録
資産の減少 必ず、貸方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「立替金」「従業員立替金」の仕訳のタイミングは次のつです。

  1. 立て替えをしたとき
  2. 立替えた金額を回収したとき

日商簿記3級試験におてる「立替金」の出題パターン

簿記3級試験で、勘定科目「立替金」は次の2パターンでしか登場しないと思ってもらって大丈夫です。

【簿記3級の「立替金」の出題パターン】

  1. 発送費など諸掛の立て替え(立替え時/回収時)
    ※この場合は必ず勘定科目「立替金」を使用
  2. 従業員負担の立て替え(立替え時/回収時)
    ※「従業員立替金勘定を使用と指定されたら「従業員立替金」を使用

勘定科目「立替金」「従業員立替金」の仕訳を例題とともに理解する

①立て替えをしたとき
:立替金(資産)の増加は左の借方

基礎学習6で学んだ通り資産の増加は必ず借方に記録をします。

例1)商品A¥2,000を掛けで仕入れ、先方負担の送料¥250を現金で立替払いした。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
立替金
仕入
250
2,000
現金
買掛金
250
2,000
※仕入れの解説に合わせた並びで記載しています。科目と金額がセットなら上下が逆でも問題ありません。

【仕訳の解説】

  • 「仕入」「送料 」が問題文にあるので「仕入諸掛」を意識し、分かりやすいところから仕訳をしていきます。
  • 「¥250を現金で立替払いした」から「現金で¥250を支払った」「¥250を立替えた」の2つの仕訳を行うと判断します。
  • 「現金で¥250を支払った」は「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少した場合には貸方に記録します。(現金¥250を貸方に記入)
  • 「¥250を立替えた」は勘定科目「立替金」で処理します。
  • 立替えた場合は「立替金の増加」と判断します。
  • 立替金は「資産」の勘定科目なので増加の場合には借方に記録します。(立替金¥250を借方に記入)
  • 「掛けで仕入れ」から「買掛金の増加」と判断します。
  • 買掛金は「負債」の勘定科目なので、増加した場合には貸方に記録します。(買掛金¥2,000を貸方に記入)
  • 最後に「仕入」の処理をします。今回は「仕入時の送料」が問題文にありますが、「先方負担の送料」「立替え払い」の文字があるので、単に商品代金\2,000だけを「仕入」で処理すればよいと判断します。
  • 仕入は「仕入の増加」と判断します。
  • 仕入は「費用」の勘定科目なので、増加の場合は借方に記録します。(「仕入¥2,000」を借方に記入)
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例2)商品B¥20,000を掛けで仕入れ、先方負担の運賃¥315を当店が現金で支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
立替金
仕入
315
20,000
現金
買掛金
315
20,000
※仕入れの解説に合わせた並びで記載しています。科目と金額がセットなら上下が逆でも問題ありません。

【仕訳解説】

  • 「仕入」「運賃」が問題文にあるので「仕入諸掛」を意識し、分かるところから仕訳をしていきます。
  • 「先方負担の運賃¥315を当店が現金で支払った」から「¥315を現金で支払った」「先方負担の運賃¥315を立替えた」の2つの仕訳をすると判断します。
  • 「¥315を現金で支払った」は「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので減少の場合には貸方に記録します。(現金\315を貸方に記入)
  • 「先方負担の運賃¥315を立替えた」は勘定科目「立替金」で処理します。
  • 立替えた場合は「立替金の増加」と判断します。
  • 立替金は「資産」の勘定科目なので増加の場合には借方に記録します。(立替金\350を借方に記入)※立替えたお金は後で返してもらえます。つまり、将来お金を受取る権利です。よって立替金は資産の勘定科目と判断します。
  • 「掛けで仕入れ」から「買掛金の増加」と判断します。
  • 買掛金は「負債」の勘定科目なので、増加した場合には貸方に記録します。(買掛金¥20,000を貸方に記入)
  • 最後に「仕入」の処理をします。今回は「先方負担の運賃」が問題文にありますが、「先方負担」「当店が現金で支払った」の文字から運賃は立替えているので、単に商品代金だけを「仕入」で処理すればよいと判断します。
  • 仕入は「仕入の増加」と判断します。
  • 仕入は「費用」の勘定科目なので、増加の場合は借方に記録します。(仕入¥20,000を借方に記入)
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

例3)社員Aの家賃\60,000を会社が現金払いで立て替えた。
当社では従業員に対する立替金は取引先に対する立替金と区別するため、従業員立替金勘定を使って記帳している。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
従業員立替金 60,000 現金 60,000

【仕訳解説】

  • 立替分は「従業員立替金勘定を使って」としていされたので、勘定科目「従業員立替金」を使用します。
  • 立て替えたので「従業員立替金の増加」と判断します。
  • 従業員立替金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 「現金払い」とあるので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
【「家賃」の仕訳をしなくていいの?と思ったなら】

問題文に「社員Aの家賃\60,000」とあるので、家賃(支払家賃)の仕訳はしないの?と疑問に思った方は読んでください。

立替金の仕訳の際には、「従業員が何のためにお金を使ったか」は、会社の帳簿に履歴を残す必要はありません。
会社の帳簿には、[従業員に対してなにを行なったか=立て替えた]が記録されれば問題ありません。

例4)従業員負担の生命保険料5名分 ¥ 40,000 を会社が小切手を振り出して支払った。
当月末にこの生命保険料は、従業員の給料から差し引くこととした。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
立替金 40,000 当座預金 40,000

【仕訳解説】

  • 従業員負担を会社がしはらっているので「立替金の増加」と判断します。特に勘定科目の指定もないので「立替金」を使用します。
  • 立替金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合に借方に記録します。
  • 「小切手を振り出して支払った」とあるので「自社振出小切手の仕訳」だと判断し、「当座預金の減少」とします。
  • 当座預金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • なお、問題文の「当月末にこの生命保険料は、従業員の給料から差し引くこととした。」現時点で仕訳を行う内容ではないので、何もしません。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
「保険料」の仕訳をしなくていいの?と思ったなら】

問題文に「従業員負担の生命保険料5名分」とあるので、保険料(支払保険料)の仕訳はしないの?と疑問に思った方は読んでください。

立替金の仕訳の際には、「従業員が何のためにお金を使ったか」は、会社の帳簿に履歴を残す必要はありません。
会社の帳簿には、[従業員に対してなにを行なったか=立て替えた]が記録されれば問題ありません。

②立替えた金額を回収したとき
:立替金(資産)の減少は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り資産の減少は必ず貸方に記録をします。

例)立て替え払いをした社員Aの家賃\60,000を現金にて回収した。
なお、当社では従業員に対する立替金は取引先に対する立替金と区別するため、従業員立替金勘定を使って記帳している。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 60,000 従業員立替金 60,000

【仕訳解説】

  • 立て替えた金額を回収したので「お金を受取る権利」がなくなるため、「立替金の減少」と判断します。
  • ただ、今回は「従業員立替金」を使用するよう指定されているので「従業員立替金の減少」とします。
  • 従業員立替金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • 現金で回収したので「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
【「家賃」の仕訳をしなくていいの?と思ったなら】

問題文に「社員Aの家賃\60,000」とあるので、家賃(支払家賃)の仕訳はしないの?と疑問に思った方は読んでください。

立替金の仕訳の際には、「従業員が何のためにお金を使ったか」は、会社の帳簿に履歴を残す必要はありません。
会社の帳簿には、[従業員に対してなにを行なったか=立て替えたお金を回収した]が記録されれば問題ありません。

例2)従業員負担の夕食代 ¥ 6,000 を立て替えていたが、本日、従業員から現金 ¥ 6,000 の支払いを受けた。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 6,000 立替金 6,000

【仕訳解説】

  • 立替えの支払いを受けたので「お金を受取る権利」がなくなるため、「立替金の減少」と判断します。
  • 立替金は「資産」の勘定科目なので、現状の場合には貸方に記録します。
  • 現金で支払いを受けているので「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

まとめ

強化学習●のポイント

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では、次の強化学習●で*****習得していきましょう。

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