強化学習

強化学習1-11 前払金と前受金の詳細と仕訳方法(前払いに関する仕訳)【日商簿記3級】

強化学習●では、勘定科目が「●●」となる取引の仕訳について学びます。

 

前払金・前受金と合わせて理解しておきたい用語

まずは、日商簿記3級試験で「前払金」と「前受金」と一緒に登場する用語について解説します。

「手付金(内金)」とは?

日商簿記3級用に完結に表現するなら次の通りです。

手付金(内金)とは、
商品の仕入れや販売の際に、商品代金の一部または全額を
先に支払ったり受け取ったりしたときの代金のこと

手付金は「てつけきん」と読み、内金は「うちきん」と読みます。

なお、手付金は法律で定められた用語ですが、内金は法律で定められていない商業用語です。

この2つの違いは、日商簿記3級試験合格のためには深く考えずにいて問題ありません。合格してからより細かいことは理解していけば大丈夫です。

「相殺(そうさい)」とは?

日商簿記3級用に完結に表現するなら次の通りです。

相殺とは
債務(支払う義務)と債権(受け取る権利)を差引きしきすること

細かく相殺を解説しようとするとなかなか難しいので、例を使って

※あとで

勘定科目「前払金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「前払金(まえばらいきん)」とは?

勘定科目「前払金」とは
商品やサービスを受け取る前に
代金の一部または全てを支払った際に使う勘定科目

商品やサービスを受取る権利を表す

勘定科目「前払金」と似て非なる「前払費用」

商品やサービスの代金を先に支払ったことを表す勘定科目には「前払金」と「前払費用」の2つがあります。
「前払金」と「前払費用」の違いは次の通りです。

前払金
(まえばらいきん)
日常の仕訳で使用する勘定科目。
商品やサービスを受け取る前に代金の一部または全てを支払った際に使う勘定科目。
後日、商品やサービスを受ける権利を表す。(資産の勘定科目)
前払費用
(まえばらいひよう)
決算期の決算整理で使用する勘定科目。
1年や3か月など継続的にサービスを受ける場合の代金をまとめて前払いしていた際に、次期にサービスを受ける分に対して使用する。
次期にサービスを受ける権利を表す。(資産の勘定科目)

今回学習しているのは、日常の仕訳で使用する「前払金」です。
「前払費用」は強化学習2-●で解説します。

仕訳の際に「前払金」と「前払費用」で迷わないようにしっかり違いを理解しておく必要があります。

勘定科目「前払金」の所属グループ

勘定科目「前払金」は「資産」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、資産のグループに属する勘定科目の定義は、
【①現金・預金または②将来、お金やサービスを受け取る権利】です。
代金を前払いした場合、後日商品やサービスを受取れるので資産に属します。

勘定科目「前払金の借方貸方

勘定科目「前払金」は、「資産」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

資産の増加 必ず、借方に記録
資産の減少 必ず、貸方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「前払金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「前払金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. (商品やサービスの代金を)前払いしたとき
    =手付金(内金)を支払ったとき
  2. (前払いした分の)商品やサービスの提供を受けたとき

前払金は仕入諸掛とセットになった出題が

勘定科目「前払金」の仕訳を例題とともに理解する

①前払いしたとき
:前払金(資産)の増加は左の借方

基礎学習6で学んだ通り資産の増加は必ず借方に記録をします。

例題1)A商店に商品25,000円を注文し、手付金3,000円を現金で支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前払金 3,000 現金 3,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 現金で支払ったとあるので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録ります。
  • 注文時に手付金を支払っているので「前払金の増加」と判断します。
  • 前払金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • なお、商品の注文をしたこの時点では「仕入」の仕訳はしません。実際に商品が届いた際に「仕入」の仕訳を行います。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)C商店と商品¥60,000の仕入契約を結び、内金として商品代金の20%を現金で支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 12,000 前受金 12,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 現金で支払ったとあるので「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録ります。
  • 現金で仕訳ける金額は、商品代金の20%なので、\60,000×0.2=\12,000です。
  • 内金を支払っているので「前払金の増加」と判断します。
  • 前払金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 前払金で仕訳ける金額は、商品代金の20%なので、\60,000×0.2=\12,000です。
  • なお、仕入契約を結んだこの時点では「仕入」の仕訳はしません。実際に商品が届いた際に「仕入」の仕訳を行います。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

②商品やサービスの提供を受けたとき
:前払金(資産)の減少は右の貸方

基礎学習6で学んだ通り資産の減少は必ず貸方に記録をします。

例題1)仕入先である商店Bに注文していた商品\10,000が到着した。手付金として商品代金のうち10%をあらかじめ支払い済みであるため相殺し、残額は掛けとした。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 10,000 前払金
買掛金
1,000
9,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 仕入先から商品が到着したので、「仕入の増加」と判断します。
  • 仕入は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 手付金を支払い済みとあるので、「前払金の減少」と判断します。
  • 前払金は商品を受取る権利なので、商品が到着した時点で権利がなくなるので減少となります。
  • 前払金は「資産」の勘定科目なので、現状の場合には貸方に記録します。
  • なお、前払金の金額は商品\10,000の10%なので\1,000です。
  • 残額は掛けとあるので「買掛金の増加」と判断します。(理由が分からない場合強化学習1-●を復習してください)
  • 買掛金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • なお、買掛金の金額は(商品\10,000)-(前払金\1,000)=\9,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)仕入先の商店Aに注文していた商品\20,000が到着した。手付金として商品代金のうち20%をあらかじめ支払い済みであるため相殺し、残額は掛けとした。
なお、取引運賃(
当店負担)\2,500は着払いだったため現金で支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 22,500 前払金
買掛金
現金
4,000
16,000
2,500

【仕訳解説】

  • 「仕入」「送料」が問題文にあるので「仕入諸掛」を意識し、分かりやすいところから仕訳をしていきます。(仕入諸掛は強化学習1-●で学習済みです)
  • 「仕入諸掛」の問題の場合、最後に仕訳を行う方が間違いが減るのでお勧めです。
  • 手付金を支払い済みとあるので、「前払金の減少」と判断します。
  • 前払金は商品を受取る権利なので、商品が到着した時点で権利がなくなるので減少となります。
  • 前払金は「資産」の勘定科目なので、減少の場合には貸方に記録します。
  • なお、前払金の金額は商品\20,000の20%なので\4,000です。
  • 残額は掛けとあるので「買掛金の増加」と判断します。(理由が分からない場合強化学習1-●を復習してください)
  • 買掛金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • なお、買掛金の金額は(商品\20,000)-(前払金\4,000)=\16,000です。
  • 取引運賃(当店負担)を現金で支払っているので、「現金の減少」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、減少した場合には貸方に記録します。
  • なお、仕入の際の当店負担の取引運賃は仕入に含めます。
  • 仕入先から商品が到着したので、「仕入の増加」と判断します。
  • 仕入は「費用」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 仕入の金額は、(商品\20,000)+(取引運賃\2,500)=\22,500です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

勘定科目「前受金」の詳細と仕訳方法

勘定科目「前受金(まえうけきん)」とは?

勘定科目「前受金」とは
商品やサービスを提供する前に
代金の一部または全てを受取った際に使う勘定科目

商品やサービスを提供する義務を表す

勘定科目「前受金」と似て非なる「前受収益」

商品やサービスの代金を先に受け取ったことを表す勘定科目には「前受金」と「前受収益」の2つがあります。
「前受金」と「前受収益」の違いは次の通りです。

前受金
(まえうけきん)
日常の仕訳で使用する勘定科目。
商品やサービスを提供する前に代金の一部または全てを受取った際に使う勘定科目。
後日、商品やサービスを提供する義務を表す。(負債の勘定科目)
前受収益
(まえうけしゅうえき)
決算期の決算整理で使用する勘定科目。
1年や3か月など継続的にサービスを提供する場合の代金をまとめて先に受け取った際に、次期にサービスを提供する分に対して使用する。
次期にサービスを提供する義務を表す。(負債の勘定科目)

今回学習しているのは、日常の仕訳で使用する「前受金」です。
「前受収益」は強化学習2-●で解説します。

仕訳の際に「前受金」と「前受収益」で迷わないようにしっかり違いを理解しておく必要があります。

勘定科目「前受金」の所属グループ

勘定科目「前受金」は「負債」の勘定科目に所属します。

基礎学習8で学んだ通り、負債のグループに属する勘定科目の定義は、【将来、お金やサービスを支払う義務】です。
前受金は、後日商品やサービスを提供する義務なので負債になります。

勘定科目「前受金」の借方貸方

勘定科目「前受金」は、「負債」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

負債の増加 必ず、貸方に記録
負債の減少 必ず、借方に記録

仕訳に慣れるまでは、基礎学習6で学んだこの図をメモやノートに書くのがおすすめです。


これが何か思い出せない方は、基礎学習6を後で復習してみてください。

勘定科目「前受金」の仕訳タイミング

日商簿記3級試験で出題される「前受金」の仕訳のタイミングは次の2つです。

  1. (商品やサービスの)代金を先に受け取ったとき
    =手付金(内金)を受取ったとき
  2. (先に代金を受け取った分の)商品やサービスの提供をしたとき

勘定科目「前受金」の借方貸方を例題とともに理解する

勘定科目「前受金」は、「負債」の勘定科目なので、複式簿記の借方貸方は次のようになります。

①代金を先に受け取ったとき
:前受金(負債)が増えたときは右側の貸方

基礎学習6で学んだ通り負債の増加は必ず貸方に記録をします。

例題1)B商店より商品\5,000の注文を受け、手付金として\2,000円を現金で受け取った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 2,000 前受金 2,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 現金を受け取ったから「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 手付金を受けとっているので「前受金の増加」と判断します。
  • 前受金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • なお、商品の注文を受けたこの時点では「売上」の仕訳はしません。実際に商品を販売した際に「売上」の仕訳を行います。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。
例題2)\10,000の商品の予約注文を受け、内金\5,000を現金で受け取った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
現金 2,000 前受金 2,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 現金を受け取ったから「現金の増加」と判断します。
  • 現金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • 手付金を受けとっているので「前受金の増加」と判断します。
  • 前受金は「負債」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • なお、商品の注文を受けたこの時点では「売上」の仕訳はしません。実際に商品を販売した際に「売上」の仕訳を行います。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

②商品やサービスの提供をしたとき
:前受金(負債)が減ったときは左側の借方

基礎学習6で学んだ通り負債の減少は必ず借方に記録をします。

例題1)A商店に商品\500,000を売り上げ、代金は注文時に同点から受け取っていた手付金\50,000と相殺し、残額を掛けとした。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金
売掛金
50,000
450,000
売上 500,000

【仕訳解説】

  • 分かりやすいところから仕訳を行います。
  • 「商品\500,000を売り上げ」から、「売上の増加」と判断します。
  • 売上は「収益」の勘定科目なので、増加の場合には貸方に記録します。
  • 「代金は手付金と相殺」から「前受金の減少」と判断します。
  • 前受金は、商品を提供する義務だったので、提供した際には義務がなくなるので「減少」となります。
  • 前受金は「負債」の勘定科目なので、減少の場合には借方に記録します。
  • 前受金の金額は、手付金\50,000とあるので\50,000です。
  • 「残額を掛け」から「売掛金の増加」と判断します。(理由が分からない場合強化学習1-●を復習してください)
  • 売掛金は「資産」の勘定科目なので、増加の場合には借方に記録します。
  • なお、売掛金の金額は、(売上\500,000)-(手付金\50,000)=\450,000です。
  • 複式簿記のルール通り借方と貸方の金額は一致します。

例題2)A商店に商品\300,000を売り上げ、代金は注文時に同点から受け取っていた手付金\30,000と相殺し、残額を掛けとした。なお、当店負担の発送費\3,000は現金で支払った。

この取引内容は次のように仕訳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
前受金
売掛金
発送費
30,000
270,000
3,000
売上
現金
300,000
3,000

「前払金」と「前受金」で迷わないために

必ず、自分を主としたときに代金を「受け取った」のか「払ったのか」を考えましょう。

  • 自分が代金を先に支ったなら「前金」
  • 自分が代金を先にけ取ったなら「前金」

主を相手にして考えてしまうと使用する勘定科目を間違えてしまうので気をつけましょう。

まとめ

強化学習●のポイント

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では、次の強化学習●で*****習得していきましょう。

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